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研ぎ日の出来事(昔の包丁)


先日ある会場で研いでいたところ「え!?包丁研ぎしてるの!?」と、お客様に声を掛けられました。

どんな包丁でも研げるか聞かれたので「パン切り包丁やセラミックの包丁でなければ殆ど研げますよ」と答えたところ、すごく古いけれど研いで欲しい包丁があるとのことで家に包丁を取りに帰られました。


しばらくして鋼の包丁を2本持って来られました。


元々は鋼の包丁を使っていたけれど、研いでもらってた所が辞めてしまいその後研ぐところがなくいつしか切れなくなった。

新しいステンレス包丁を買ったけれど切れ味は鋼の包丁に遠く及ばなかったが、仕方なく使っている。

鋼の包丁は研いでいないから使えないのに、捨てるのが惜しくて長年持っていたが、もうとうとう捨てようと決めてゴミ袋に入れて次のゴミの日に出すところだった。


と言うタイミングでたまたま私が研いでいるのを見つけてゴミ袋から拾い出し持って来たそうです。

包丁を拝見したところ、古く使い込んでおり刃先が荒れているものの、研げば良く切れるようになりそうな包丁でした。

錆を取り砥石を数本使用し、また台所の主役に復帰できるような状態にしてお渡ししました。


お客様から「昔は包丁研ぎに出していたけれどそこがもう無くなってしまい…」という話を良く耳にします。

当たり前ですが鋼もステンレスも研げば切れるようになりますが、研がなければ切れなくなります。

毎日食材を刻み、何十何百回とまな板に打ち付けられる包丁は永遠には切れません。

使い慣れた愛着のある包丁を長く使って頂くにはそれなりのメンテナンスが必要ですが、残念ながら包丁研ぎをするお店が減っている事も事実です。


包丁に限らず車でも家でもそして人間でも、必ずメンテナンスは必要です。

もちろん買い替えられる物もありますが、研ぐことで新品のような切れ味を取り戻せるなら、包丁研ぎを選択肢の一つとして道具を長く大事に使う方向で考えてみても良いのではないでしょうか。


このお客様は「持ってて良かった!捨てなくて良かった!ありがとう!」と大変喜んで帰られました。

いつも包丁研ぎの日には楽しい事や嬉しい事がたくさんありますが、お客様の喜ぶお顔を拝見し「身に余る光栄」とはこの事なんだろうなと思ったとある研ぎ日でした。



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