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「包丁研いであげるよ」に潜むリスク

きらら工房では店頭に持ち込まれた包丁を研ぐ前にお客様と包丁を確認します。

その時に研ぎ方の希望の相談を受けたり、初めてのお客様にはどんな風に研ぐかを説明します。

そんな店頭でのお話の時に良く包丁に関してのトラブルを耳にします。

 

「自分で研いだら変になってしまった」

「自分で研いでもあまり切れない」

 

そう言った話が3割くらいでしょうか。

その他の7割くらいが

 

「他のお店で研いでもらったけど…」

「知り合いに研いでもらったけど…」

 

から始まるトラブルです。

その中で多いトラブルと、その原因思われる事を書きます。

 

〇切れなくなって戻って来た➡刃先まできちんと研げていない、ベルトサンダーなどにより熱が加わり金属が変性して切れなくなった、刃先のみしか研いでおらず刃の厚さの調整をしていなくて分厚いままだから切れ味が悪い

 

〇包丁が凄く小さくなって帰って来た➡雑に研ぐ事により必要以上に研ぎ過ぎた

 

〇刃先のラインがおかしい➡刃先を満遍なく研ぐ技術が不足している

 

〇切っ先や顎(柄に近い部分)を勝手に丸く研がれ「尖ってて危ないから丸くしておきました」と言われた➡希望を聞かずに独断で包丁の形を変えた

 

〇片刃なのに両刃にされた➡知識不足、道具(砥石)のメンテナンス不足、修正するには両刃になった所まで削らなくてはならず包丁の寿命が縮む

 

〇両刃なのに片刃にされた➡知識不足、修正するには両刃になるまで削る為包丁の寿命が縮む(一部のステンレス包丁は元々両刃であっても片刃として使う事も可能)

 

〇刃先にひび割れができた➡包丁を雑に扱った、もしくは電動研削機を使用している時に手技を誤った

 

〇黒打包丁だったのに黒い部分が無くなった➡黒い部分は良いサビと言う事を知らない知識不足

 

こういったトラブルを話す時のお客様は本当に残念そうで、包丁を見るとお客様の悲しみが伝わってきます。

店頭で話をするお客様は氷山の一角で、嫌な思いをしたからもう包丁研ぎになんか出さない、と決めてしまい、切れない包丁を我慢して使っていたり、買い替えを余儀なくされている方もおられると思います。

 

きらら工房での研ぎに関しても、合うお客様と合わないお客様がおられると思います。

自分の「良かれと思って」がお客様の満足に必ずしもつながる訳ではありません。

知識や技術は勿論ですが、それと同じくらいお客様の希望にも寄り添った研ぎができるよう心掛けて一本一本に向き合いたいと思っています。

研ぎ方や仕上がりに関するご希望がある方は遠慮なくご相談ください。

 

最後になりますが、知り合いの「包丁研いであげるよ」と言う言葉には気を付けてください。

勿論上手に研げる方もいるとは思いますが、趣味で研いでいる方は限られた種類の限られた包丁しか研いだ事が無い人が殆どだと思います。

包丁に対する知識、正しい研ぎ方、研ぎ方のバリエーション、包丁の使い方に合わせて研ぐ、などは一朝一夕ではできません。

善意であったとしてもお互いに残念な事にならないよう、慎重に見極めて大切な包丁をお渡しください。



※包丁の変形やトラブルに関しては、程度により割増料金が必要な場合があります。また、当店での機材で対応できない重度のトラブルの場合は外注対応とさせていただく場合がございます。

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