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包丁すずなりプロジェクト実施報告

  • kira2kb
  • 7月22日
  • 読了時間: 6分

2024年11月から2025年5月末まで実施した、能登に包丁を贈る「包丁すずなりプロジェクト」に関して報告いたします。


 多くの方のご協力により集まった寄付金により、包丁12本と砥石4本を購入し、2025年7月に能登半島先端の珠洲市にある「すずキッチン」と「すずなり食堂」へ無事届ける事ができました。

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 私は2024年4月から能登半島へ災害ボランティアで行っており、現地では災害ボランティアだけでなく包丁研ぎのボランティアもしています。大変な事がたくさんある中で、包丁を握るその一瞬だけでも楽しい気持ちになってもらえたらと願って毎回研いでいました。


 そういった活動をしていた昨年10月、現地の方と話をしていた時に「能登は見捨てられている」「能登は忘れられている」という言葉を聞きました。その言葉を聞き「自分にもっと何かできる事はないのか」と考えるようになりました。


 そんな中、毎回研いでいたお店(すずキッチン、すずなり食堂)の包丁を研いだ時に、その包丁はお店で働く人達が自宅から持ち寄った家庭用の包丁と言う事を知りました。

すずキッチン、すずなり食堂は被災された料理人の方達が立ち上げ、仮設店舗で食堂とお弁当販売をしているお店です。

地元の方を始め、工事関係者やボランティアの人達で賑わい、地域の貴重なコミュニティースペースの役割も担っていました。


 私一人の力で大きな事はできないけれど、協力してくれる人を募ってそのお店で使ってもらう包丁を寄贈しよう、と考え「包丁すずなりプロジェクト」を立ち上げました。

きらら工房出店時に募金箱を置きチラシを配り、オリジナルグッズや能登で使われていた輪島塗や寄付された包丁のチャリティー販売をし、SNSで告知などをおこない協力者を募りました。

その結果、目標としていた額を超える寄付が集まり、メンテナンス用の砥石や特殊な包丁(尺サイズの牛刀)なども購入でき、それらを現地にて無事手渡す事ができました。

 

 包丁を寄贈できた事と同時にもう一つできた事があります。

それは「能登を思うたくさんの人の気持ちを一緒に渡す事ができた」という事です。

「能登は見捨てられている」「能登は忘れられている」という言葉を実は私も感じていました。


 被災地に行けば厳しい現状が目の前に広がり、先の見えない中で多くの方が本当に大変な思いをしています。

ですが、一度八王子に戻れば普通に毎日が繰り返され、能登の話をする人は殆どいませんでした。



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2025年5月の奥能登

崩れた家の間にそっと咲く野草



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 住宅地だった場所は公費解体により

空き地が増え雑草が茂っています

この後ここにどれだけの家が建つのか


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以前は家が立ち並んでいた海岸近く

車で走るとずっと海が見える

状態になっています

地元の方が

「今まで目印にしていた家が殆ど

無くなって道がわかりにくくなった」

と言っていました



もっと能登の現状を知って欲しいと「能登半島ボランティア体験記」を書き冊子にして店頭に置いても、あまり目に付かなかったのか手に取る人は殆どいませんでした。

それが募金箱を置き「能登半島復興支援」のポスターを掲示したところ、沢山のお客様から色々な声がかけられるようになりました。

 

「能登は今どうなっているんですか?」「能登の人達は大丈夫なんですか?」と現地の状況を心配する方。


「テレビで能登のニュースを見る度に、現地の人の大変さを思い涙が出ます」と言い、店頭で涙を流されていた方。


「昔能登に旅行で行きました」と能登での素敵な思い出話をされる方。


募金をするためだけに足を運んでくださった方。


自分が能登にできる事は無いかずっと考えていたけど、やっと自分にも協力できる事があったと喜んでいた方。


現地に行けずもどかしい思いをしていて、少しでも助けになればと協力してくださった方。


落ち着いたら絶対に能登に旅行に行きますと言っていた方。


旅行に行くくらいしかできないから、この前能登に行ってきたという方。


年齢や仕事などの事情で自分はボランティアに行けないので「私の分まで頑張ってください!」と応援してくれた方。

 

本当にたくさんの方が能登を思い、考え、気にかけている事をこのプロジェクトを通して知りました。

 

能登を見捨てていない

能登を忘れていない

 

 包丁を手渡す時にお客様からの温かい気持ちを一緒に渡せた事は、もしかしたら包丁を渡す以上に大切な事だったのではないかと思っています。

 

 震災から1年半、豪雨災害から10か月、現地は解体が進み更地が増えて、復興のスタート地点に立っています。

これから長い復興の道のりを歩む能登に、たくさんの方の気持ちがこもった包丁がそっと寄り添い続けます。

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「災いを断ち切り未来を切り開く」

と言われている包丁を手に取り

笑顔になっている能登の方々

この笑顔が能登のこれからを照らす

光なんだろう

 

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銘はどうやって入れたのか、など

包丁や砥石について歓談


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新しい包丁達はさっそく活躍していました


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寄贈した包丁に入れた銘

「能登福幸すずなり」

すずなり食堂のメニューで、復興を願って

名付けられた海鮮丼の「福幸丼」と

仮設店舗がある「道の駅すずなり」そして

「すずなり食堂」から取りました


能登の未来に福と幸せがすずなりで

訪れる事を信じています


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すずなり食堂の福幸丼

自然あふれる能登は海の幸、山の幸が

たくさんあります


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能登を表現する言葉があります


「能登はやさしや土までも」


包丁すずなりプロジェクトは終わりますが

是非一度能登を訪れてみてください

観光地はまだ復旧していない所も多いですが

豊かな自然と優しい人々がいつでも

温かく迎えてくれます


【包丁すずなりプロジェクト収支報告】

 

寄付金総額(2025年7月22日現在)318,545円

包丁、砥石の購入費用合計344,919円

<内訳>

包丁12本購入金額330,049円

大阪堺の銀三文化包丁黒檀柄8本(鍛冶:山塚尚剛氏、研ぎ:野村祥太郎氏)

ミソノUX10牛刀21㎝2本

ミソノUX10牛刀30㎝1本

グレステン牛刀30㎝1本

中砥石2本、10,530円

修正砥石2本、4340円

 

※寄付金、各種売上げは全額が包丁購入に充てられました。

※現在手元に残る輪島塗、チャリティー中古包丁を売り切った後に残る不足分はきらら工房が負担します。

 

【ご協力、ご支援してくださった店舗様】

マルシェ802

スーパーアルプス各店

三徳各店

めじろ台会館

骨董市

八王子総合卸売センター

 

【地元紙掲載】

読売センターめじろ台様発行の地元情報紙「よみっこ」では複数回に渡り、能登半島復興支援ボランティアや包丁すずなりプロジェクトを掲載していただきました。

 

【大阪堺にて包丁作成、銘入れなど】

ノムラ刃物(野村祥太郎様)

池田鍛錬所(池田美和様)

 

 

 

包丁すずなりプロジェクトに参加、協力、応援していただいたすべての方に

心より感謝申し上げます。


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