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刃の変形の修正、どこまで何をするかしないか

先日30㎝超えの牛刀を研ぎました。

今までは他の研ぎ屋に持って行っていたとのことですが、包丁を見ると刃のラインが変形して切っ先と顎の部分が飛び出ていました。


個人で長年研がれている方の包丁ではどうしても研ぎムラが出て変形する事がありますが、これはお店に出していたとのこと。


その包丁は刃のラインの変形だけでなく、刃先から包丁の中央部の辺りまで表裏まんべんなくベルトサンダーで付いたと思われる深い傷が無数についていました。


余談ですがベルトサンダーは乾式の為、当たっている部分が摩擦熱で高温になりやすく下手をしたら包丁に熱が入ってしまいます。

鋼の包丁ですと刃先が高温になると焼きが戻ってしまい、致命的な事に刃そのものの材質が変わり切れなくなる事があります。


その包丁を本来あるべき理想の形に修正するのがベストですが、それをすると刃渡りが短くなります。

包丁を研ぐということは「多かれ少なかれ刃を削り小さくする事」ですが、最小限の研ぎで最大限の切れ味を考えて研がなくてはなりません。

決して理想の形にする事だけがオンリーワンのベストではないと言う事です。


この包丁の場合は使用に差し支えないレベルぎりぎりまで修正し、長さが短くなるのを最低限に抑える事により、その包丁が使える期間を出来るだけ長くなるように考えながら研ぎました。


包丁を研ぐと言うことはこういった包丁の変形に限らずですが、色々な事を鑑みて研がなくてはなりません。


例えば刃先の小さな錆による穴をどこまで研ぎ進めて消すか、研ぎ進めた所で他の錆が刃先に出てこないとも限らずそうなったらどんどんと包丁は小さくなっていく。

それとも切れ味はしっかりと確保したうえで、ある程度の刃先の錆による穴は許容して(その包丁の使用用途にもよりますが)研ぎを適度な塩梅で止めて包丁の減りを最小限にする。




毎回包丁と向き合う時は一本一本が試行錯誤です。

目の前の包丁の良いところを最大限に引き出し悪い所は色々な事を考慮しながら修正し、出来るだけ良い状態で長く使って頂きたいと考えながら研いでいます。


私が考えるベストに任せて頂けたらそのように研ぎますし、勿論お客様と一緒にそのベストを決める事も出来ますので、研ぎに関するご希望がありましたら遠慮なくご相談ください。



※絵がアレですが「こんな感じ」な雰囲気で見てください(笑)

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