リピーターのお客様からたまに言われる事があります。
「前に研いでもらった時よりも今回の方が良く切れました。」
これは決して前の研ぎが手抜き、と言うことではありません(笑)
お客様の包丁を使い方に合わせて少しずつ調整していっているからです。
包丁研ぎに関して包丁の切れ味に影響する事は大きく分けて2つあります。
① 刃先をどう研ぐか。
② 刃の薄さをどの程度にするか。
① の刃先に関しては、その包丁に合った砥石を使用して切っ先から顎(刃の根元)までどの部分もしっかり切れる様に研いでいます。
② に関しては刃の材質、厚さ、硬さ、そしてお客様の使い方に合わせて研いでいます。
なので、リピーターの方の包丁に関しては、前回私が研いだ後にどのように使われていたのかを研ぐ前に包丁を見る事で判断してから、より切れる方向でその日の研ぎ方を決定します。
前回よりも切れるようになったと感じるのはこの研ぎ方の調整の為です。
基本的な事になりますが、包丁と言うのは刃が薄ければ薄い程切れ味が良くなりますが欠けやすくなります。
刃を厚くすると欠けにくくなりますが切れ味が落ちます。
刃の材質のグレードにより、薄く研げる限界に差があります。(良い包丁程薄く研げるので切れ味が良い)
ではどこが正解なのかと言うと、包丁×使い方によって決まるので同じ包丁でも使う人によって正解が変わってきます。
初めて来店された方の包丁に関してはその時の状態を見てから、欠けないであろうと思われる厚さで仕上げます。
次にそのお客様が同じ包丁を持って来店された時には、まず刃先の状態を見て大丈夫そうであれば前回よりも薄くします。
そうする事で切れ味がよりシャープになります。
これらを何度か繰り返して行くと、そのお客様に合った刃の厚さ「欠けないギリギリの薄さ」に包丁を仕上げる事ができます。
ここまで来るとそこからは毎回同じ切れ味に落ち着きます。
ちなみに「前回の方が切れた」と言う逆の場合もあります。
それは前回の研ぎでは刃先が荒れたり欠けたりした場合です。
包丁は欠けるとその部分まで削らなくてはならず、小さくなってしまします。
なので、欠けた場合は欠けないように少し刃を厚くする方向で研ぐ場合があります。
お客様の中には「少しくらい欠けてもいいので切れ味重視で研いでください」と言う方もいます。
勿論ご希望通りに研げますので、遠慮なくご相談ください。
余談ですがきらら工房では厚さの調整のみではなくまた別の手法を組み合わせて研いでいますが、オタクっぽくなるのでそれはまた別の機会にします。😊
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